秀英便り
桜の開花の知らせも届くようになり、春のうららかさを感じる季節となりました。
秀英中学校高等学校も令和5年度を終えました。
昭和学院秀英高等学校卒業式
3月2日、第39回昭和学院秀英高等学校卒業式を挙行しました。卒業生250名への卒業証書授与のほか、各種褒賞の授与など、厳かな式を行うことができました。
今年の卒業生は中学3年の時に新型コロナウィルス感染防止のため学校が休校となり、再開後も多くの制約を受けながら学校生活を送りました。そういう中でも、生徒達はこの秀英での「学び」を止めることなく進んできました。学校行事も縮小せざるを得ない中で、秀英の生徒達はその発想力と推進力によって不自由さを進歩に変えていきました。
高校3年間の成長は目覚ましいものがあります。学力の向上はもちろんですが、自己を見つめる視点の深まりは、自律の精神と将来への自己実現への意欲にむかっていきます。高校生を教えていると、高校3年生にその成長の手応えを感じます。
私は行事や式典の際に生徒に話してきましたが、最後となる卒業式に、人間の「知性」について話しました。知性は知識とは違って、知性とはそれを持っているかどうかを自分で判断できるものではなく、他者が感じとるものだということ。さらに、知識は古びるが知性は古びないということ。例えば、ある人の話を聞いた、ある本を読んだ、それによって自分が未来に動き出す意欲をもらった、そういう力を与えてくれるものが「知性」と言えるのではないか、つまり、知性とは人類の未来に希望を与えてくれる叡智であるということを話しました。さらに、未来を創っていく卒業生に「Think out of the box(既成の枠にとらわれない)」という言葉を紹介し、私のはなむけの言葉としました。
卒業生250名は、秀英で培ったものを未来にむかって開花させてくれることと思います。
合唱コンクール
3月15日には、秀英中学校の合唱コンクールが開催されました。今年から外部のホールで開催することとし、青葉の森公園芸術文化ホールで保護者の方々が観覧される中、まるで、春のうららかさそのもののような明るい歌声がホールに響きわたりました。
全クラスが課題曲の「夢の世界を」と自由曲の2曲を歌い、金・銀・銅の各賞と最優秀賞が選ばれ、また、各学年で指揮者賞と伴奏者賞が選ばれました。
中学1年生はまずクラスをまとめるところから大変だったことでしょうが、どのクラスもよくまとまって一生懸命歌っていました。中学2年になると、合唱としてのレベルが問われてきます。皆が同じ目標に向かって努力していくことを学ぶ良い機会になったことでしょう。その努力はハーモニーの良さに表れていました。中学3年になると、やはり迫力が違いました。各クラスとも、曲のとらえ方や声の出し方、一つに響き合うハーモニーは、秀英中学校の3年間の集大成とも言える合唱でした。今年1年、秀英中学校を引っ張ってきた気持ちが込められていた歌声でした。
合唱コンクールという経験は、生徒1人1人の努力がクラス全体を高め合うという達成感につながったことでしょう。言い換えると、可能性を追い求め実現していく精神といってもいいでしょう。同時に、その歌声は、聴く人の心を豊かにしてくれました。さらに、合唱コンクールの運営を担ってくれた生徒会の皆さんの動きも非常によかったです。秀英中学校の合唱コンクールの伝統はこうやって着実に受け継がれていくことでしょう。
今年度大学合格実績
3月10日の京都大学と東京大学の合格発表をもって、国公立大学の前期試験の発表が終わりました。この後、後期試験がありますので、まだ途中段階ですが、難関4大学などの合格者数や国立医学部合格者数などを見ると、今年は過去最高の実績となった昨年を上回る実績となるのではないかと思います。詳しくは進路部の取りまとめが終了した段階で公表いたします。
秀英中学校修了式
3月22日、本校小講堂で昭和学院秀英中学校修了式を挙行いたしました。164名の卒業生が秀英中学校を卒業し義務教育を終えました。
3年前の入学式の時はあどけなかった生徒達が立派に成長した姿を見ると、3年間の月日が思い起こされます。コロナ開けの学校行事を中学3年生として引っ張っていった卒業生の頑張りを讃えるとともに、「学び」ということについて話し、私のはなむけの言葉としました。
春から高校生として、さらに大きく飛躍してくれることを期待しています。
第3学期終業式
3月23日は今年度最後の式となる終業式を終えました。この1年、生徒達に話をしてきましたが、本校の生徒はよく聞いてくれました。中学生と高校生と一緒に聞くわけで、中学生には少し難しい内容の時もあったでしょうが、それでも静かに耳を傾けてくれました。
同じ秀英の生徒として、こういう時間を共有し、考えを深めていけるというのは貴重な経験だと考えます。中学、高校生という時期は人生において最も変化の多い、そして豊かなエネルギーをもつ時間です。それを成長への原動力に変えていってほしいという願いを込めて、私なりに生徒に語りかけてきました。
来週はもう4月、新しい年度が始まります。新しい秀英の仲間も加わります。自己実現に向けて、新たなチャレンジをしてほしいと思っています。
昭和学院秀英中学校・高等学校
校長 田中尚子