秀英便り
正門を入るとすぐ目に入るプランターにはペチュニアの花が気持ちよさそうに風に揺れています。ただ、先週まで「薫風かおる五月」という表現がそのまま当てはまるような気候が続いていましたが、今週からは「梅雨入り間近な空模様」に一転しそうです。
先日、「中学校体育祭を終えて」という記事を掲載しました。このように、学校の様子や予定等を「秀英便り」として随時お伝えしていきたいと思っています。
1学期も2ヵ月経ち、生徒はクラスにも慣れて落ち着いて学校生活を送ることができています。中間考査前は図書館で自習する生徒も多く、本校の生徒の学習に取り組む真剣さを感じました。
6月1日(木)の午後は、高校3年生の保護者対象に進路ガイダンスを実施します。進路指導部長が大学入試のスケジュールや仕組み等の説明をします。高校3年生は自分の希望進路実現のために、いよいよ本格的にエンジンをかける時期になります。
この春の卒業生の進学実績についてはWEBサイトでもご覧いただけます。また生徒には「進路の手びき」が配布されていますので、より詳しく進学状況や先輩達の頑張りを知ることができます。今年の東大合格者は現役が6名、既卒生を入れると8名で、過去最高の数字となりました。また、難関4大学(東大・京大・一橋大・東工大)と国立大医学部を合わせた現役合格者も19名となりました。この春の卒業生は229名でしたから、最難関と言われる大学と学部に卒業生の8.3%が合格したことになります。国立大学全体では75名、早慶上理は合計197名の現役合格者を出しています。
本校の進学実績はこの10年着実に伸びています。ただし、進学実績は「本校の進化」のさまざまな指標の一つだと考えます。「進化」という言葉を使いましたが、進学実績だけでなく、本校にはこの10年で進化したものが数多くあります。それは、生徒の自主性や自らで探求し挑戦していく姿勢などにも表れており、日々の教育活動とともに学校行事などにも、本校生徒の向上を実感します。
例えば、千葉大学ASCENTプログラムはすでに紹介しましたが、グローバルに活躍できる理系人材の育成のためのプログラムです。それに参加した高校2年生(2名、現高3)は、昨年度タイのチュラロンコン大学でその成果発表をしました。素晴らしいです。一昨日実施された今年の千葉大学のプログラム説明会でも、OGとして自分たちの経験を話し、大変良かったと千葉大学の教授から伝えられました。本校の生徒はこういう校外の活動にも意欲的に取り組む姿勢をもっています。
6月には、12日(月)に「歌舞伎鑑賞教室」(国立劇場、中学3年生)、20日には「能楽鑑賞教室」(国立能楽堂、高校2年生)が実施されます。これらは本校が重要な教育内容として続けてきたものです。4月に実施した芸術鑑賞教室(2023年度は市川文化会館で「鼓童」を全校生徒で鑑賞)もそうですが、「豊かな心」の育成のためのさまざまな取り組みは本校の伝統だと言えます。それに加え、ボランティア活動や福祉講演会などもずっと実施してきました。このような創立以来の取り組みは、本校の生徒の人間的成長に大きく寄与してきたと考えます。その人間的成長の上に本校の進学指導は実施されているということを私は非常に誇らしく思っています。
社会を担う能力、さらにその意欲と責任を秀英の中で育んでほしいという思いから私達職員は日々取り組んでいます。教育とはすぐに結果がでるものではありません。「進学実績が一つの指標」という所以はそこにあります。秀英で学んだ生徒達が、本校で身につけた資質を発揮し、よりよい社会の構築をリードしていってくれることが本校の教育の目標だと考えます。
最後に、この3月に卒業生から聞いた言葉を紹介して、今回の「秀英便り」を終わりたいと思います。それは3月10日でした。東大の発表の後、東大に合格した生徒と千葉大に合格した生徒が私のところに挨拶にきてくれました。「勝因はどこだと思う?」と尋ねた私に、二人は「皆でやれたから」と即答しました。
これこそ、本校の「力」だと感じました。秀英という集団の中で「心の教育」と「知の教育」の融合、それがなされた結果ではないかと感じ、卒業生の言葉に「ありがとう」と心の中でつぶやいた私です。
昭和学院秀英高等学校
副校長 田中 尚子